1on1カード利用者インタビュー アンバサダー甘糟様 2/2

(2020年4月現在情報)

ここからは逆に私に聴きたいことがないかをお尋ねしてみました。
甘糟様の上手な問いかけに私がインタビューされている側になってしまいました。

1on1カードインタビュー 2/2
 1on1カードを作ろうと思ったきっかけ
 1on1カードのテーマと質問文について
 入口としてはどのカードから使うといいか
 1on1カードで気になること
 製作者が思う1on1とは
 1on1に課題があるときはどんなところから着手したらいいか

 

1on1カードを作ろうと思ったきっかけ 

   

そもそもこの分野に取り組んだきっかけはどんな理由なのでしょうか。

キャリア支援や職場のコミュニケーションに興味を持ったきっかけをそれぞれ話します。

【キャリア支援に興味を持ったきっかけ
私自身やりたいと思うことに対しては独学で学んででも達成しようとする一方で、苦手なことにはなかなか前向きになれないギャップの激しい学生でした(今もですが笑)
その一方で自分より頭がいいなと思う人がいてもそれを発揮する場所を見つけられずにもったいないなぁと感じる場面に遭遇することが多かったのです。

やりたいことが見つかるなど、人それぞれ自分が活きる場所にマッチングできると力が発揮できると思うので、そもそもキャリア分野に興味をもちました。

【職場のコミュニケーション】
上司や仕事内容によって自分のパフォーマンスが大きく違うことを会社員時代感じていました。自分がメンバーとして働いていたときは自分ごとなのでうまく振る舞うことができなかったときがありました。

コーチングやカウンセリング、ファシリテーションを学ぶうちに相手の話の聴く感覚やお互いのすれ違いにより気づけるようになってきました。また会社にてメンター代行をやって、上司の方ともやりとりしていました。そうすると客観的な立場だとお互いがどうすれ違って、ちょっとしたことでやめていく過程を目の当たりにし、積み重なることでいわなくなる現状をみました。そうした状況を救いたいなと感じました。一方で上司の方も考えて、部下のためを思って行動しているのに伝わっていなかったり、その対応がずれてしまっていたりしたので、そういったすれ違いが少しでも減ったらみんな幸せになるなと思いました

そうした背景のなかで1on1カードを作ったきっかけは何だったのでしょうか?

技術書典というイベントを知ってまずは職場でのすれ違いを扱う本を書きました。いろいろな感想をいただいて思っていたより反応がありました。でも共感したという言葉は出たものの、実際にやってみた、うまくいったいかないといった感想が少なかったため、(最近になって出てきてうれしい限りです)もっと職場ですぐ使えるものを考えたいと思うようになりました。

前著もおもしろかったですし、普段気にしていることがかかれていて、すごくよかったです。

読んでいただいていてありがとうございます!

上司側、部下側のそれぞれが抱える1on1の悩み

1on1の悩みをいろいろ聞いていくうちに「何を話していいかわからない」という状況が多いことがわかってきました。
そこで質問を支援したいと思い、ちょうどボードゲームが流行りだしており、コーチング系などの質問カードがいろいろあることは知っていたので、1on1カードを作ることを考えました。

理論を学んでいなかった方だとしても、まずはやってみることができるものを作りたいとと思いました。 カードという媒体ならもっとカジュアルにやりとりができるのではないかと思ったのが制作の背景にあります。

もちろんこれだけですべてができるとは思っていなくて、突然1on1導入が決まったり、何を話したらいいのだろうと悩んだときにベースになるものをつくりたいと思ったのがカードという商品に踏み切った理由ですね。

今回大事にしたのは研修で使ったカードをそのまま本番でも使えるものにすること。ビジネスゲームの擬似体験もいいのだけれど、研修の転移が容易なかたちにしたかったのですね。
質問カード自体はたくさんありますが、テーマとそれに対する質問まで決め、順番があれば話しやすい状態にできると考えました。

コーチングやカウンセリングなどに興味なく学ぶことがしんどい方もいますし、そもそも1on1に限らず学ばないといけないことがあふれており、全てを学ぶことは現実的にも厳しいと思います。
学ぶかどうかはひとそれぞれなので、全社導入になれば、素質的に苦手なひともいるのでそんな人でもやりやすいものを目指しました。
もちろんこのカードがきっかけで学ぶ人が増えたらまたいいなぁとも思っています。

1on1カードのテーマと質問文について

 

1on1カード テーマごとに色が分かれている

カードのテーマを4つに絞った理由を教えていただけますか?

メンタリング、カウンセリング関連の本や論文と私自身(アドバイザー2名や学会の先生などのアドバイスも含む)が普段1on1で出している質問から分類して、テーマを構成しています

テーマ毎に質問が少ないものもありますが、テーマがきちんと入ることを重視しています。(足りないものはぜひ補っていただけたらと)

できるだけ内省を促す質問を詰め込んでいます。

問いによって内省させるっているのが難しいですよね。

仕事のテーマひとつをとっても、
急いでいて内省を促している場合ではないときは情報を引き出して一緒に解決を支援することもある
と思います。

実際、ゆっくり聞いているどころじゃないという意見も聞きます。そういったケースに対応する質問をカードには盛り込んでいます。しかしそれを利用するばかりになっていると自律的に動くことがなくなってしまうことも知って欲しいと体験会などでは話しています。

テーマとは別にサポートカードもあります。サポートカードは私がいつも1on1で言っているものからテーマには入らないものを入れました。気持ちを話すのが苦手な時や、言いにくそうな時に使う質問ですね。たまたまそういったクライアントが多かったことから加えています。

あとは話を引き出す傾聴の技術をお互い評価しあえるように評価するカードも加えました。

このサポートカードもすごくよくて。
事実と意見わけてみるなど、みんなが練習しておくといいのかなと思います。

本当は話しにくいと感じる方以外もバリエーションがあってもいいかなと思っています。「俺の話をきけってタイプ」に対する接し方など。
とはいっても話しにくくなってしまっているケースは1on1において多いのでそれには応えられているかなと思います。

入口としてはどの1on1カードから使うといいか

 

信頼関係がまだあまりないなかで、入口としてはどの話題から入るのはよいでしょうか。よく聞かれたり、困っていたりするをケースをみるので伺いたいと思いました。

1つは仕事テーマから入るのがいいかなと思います。
お互い共通の話題なので入りやすいかなと。

仕事の状況に関して先入観をできるだけ持たずに、「まずは相手の声に耳を傾けて聞くということができる」という状態をつくることからスタートしていくのが大事なことかなと思います。
相手がじっくり話を聞いてくれる感じがするだけでも距離が縮まっていくのではと思います。

もうひとつはキャリアがテーマのカードのなかで「価値観を探ろうのレベル1」のカードも入りやすいですね。
学生時代や会社を選んだ理由などを聞くものがあるので、そのあたりを投げかけると相手は自分に興味を持っていることが伝えやすいのかなと思います。(その思いが継続しているのか、いまできているのか、なにが問題なのかなども聞いてみるといいかもですね)
期待が実現できているかは信頼がないと話しにくい部分はあるかもしれませんが。。

仕事の話しといっても唐突に「来期どうする?」といきなり聞いてしまわないようにしないといけないですね。
答えるのも難しいですし、そもそも目標ってすぐに言えるものではないので、困る状況になってしまいますよね。
そういう意味でも話せるように。そこそこ信頼関係を作っていかないといけないですね。

また仕事の期待のズレによって部下を指示待ち人間にしてしまうこともありますよね。期待しているがゆえの、本当はこうしてほしかったのにという感じで思いがずれていくなど。。どうしたら指示待ち人間にならないかで悩む人も多いと思います。とくに新しい人が入ってきたときにそういったケースが多いかなと感じます。

そういう意味では新しいひとが新しい会社の文化をつくり、新しい文化を根付かせるために、新しいものをインストールするのかなと考えています。
「うちではこういうものだ」と視点が固定化されてしまう場合がありますが、そうした場所に新しい人が入った時に可能性の芽をつまないように育てるには、指示待ち人間をつくらない新しい視点をマネージャーが受け入れることができるかが大事になってくるかなと思います。

よってOJTなどが悪いのではなくて、メンバーへの接し方にばらつきがでないほうが本当はいいので、正しい振る舞いや、どのようにうまく機能するのかということを知っていれば少し減るのかなと思っています。

なかなか自分の価値観があるなかで違う文化や価値観を自分の価値観を伏せて聴くことは難しいですよね。
傾聴のワークの研修では好きなものを話すワークなどして
聞いてもらえる状況ともらえない状況を体験してもらう時があります。聞いてもらえる喜びをすることから大事さを実感してもらうのがいいかもしれません。

あとは本人が望んでいるかどうかを考えずにアドバイスしてしまうことがありますよね。

1on1ってあくまでも情報収集の場だと思います。アドバイスするにしても十分にヒアリングした後でないと的外れなことを言ってしまう可能性が高くなります。

1on1がコーチングやカウンセリングと大きく違う点は「聞いた側も動いたり、協力することが可能な立場にあるかということだ」とアドバイザーの二人とも話していました。
1on1で得た情報をつかって小さいことでもいいから動くこともひとつの信頼を得る方法としてもあるかなと思います。

ラポール構築(信頼構築)などこのカードの前段階のものは作らないと思ってはいます。

ところで1on1カードや前著が理論を整理勉強されているという声をいただいていましたが、心理学は結構勉強されているのですか?

UXデザイナーなので行動心理学、経済心理学、デザイン思考を学ぶなかでいろんな見方をする訓練をしていますね

なるほど。だからこそいろんな視点で考えられているのですね。

1on1カードで気になること

1on1カードのいいところをとりあげていただきましたが、逆にこういうところは変わったらいいななどありましたら教えていただけますか?

テーマ「関係性のカード」が少ないのは気になりました。
あとは豊富な経験があって慣れているひとはいいのだけど、カードをもうちょっと活用する何かがあったらなと。

例えばサポートカードはよく忘れてしまって、、
確認シートみたいなのがあって、このカードはまだ使っていないぞということがわかるようにできたらいいなと思いました。

そう思った背景は、ひとつカードを選んだら後は同じテーマでずっと続いてしまうことがあり、そうなると最終的にはいつものテーマ選択や癖の進行に戻ってきてしまいます。
ある程度、今回はこのカードを使うのだという意識をもたせるようにするには「枠があって、穴埋めしないといけない」というガイドルールがあるなど、このカードはまだ使っていないぞということを意識させる仕組みがあるといいのかなと思いました。未使用カードの存在に終わった後になって気づくひとが多かったのです。

使っていないカードが一目でわかるようにしたいということですね

「この時間は何の時間で、どうしたら有効活用できるのか」という意識づけができると、話したい内容に沿ったテーマのカード選択ができるのでいいのかなと思います。

と改善点をお話ししましたが全般的によくできています。

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置く場所や使う場所がわかるようにこのインタビュー後に「1on1カード プレイシート」を作成しました。まず一歩ですので今後もユーザーの皆様からの声から企画・改善していきたいと思っています。

【1on1カードプレイシート】のDLは以下のリンク
https://careerupdate.booth.pm/items/1760061

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製作者が思う1on1とは、

 

尾澤さんが思う1on1のあるべき姿はどんなものですか?

私はそもそもみんな価値観が違うのだから自発的にお互いを理解しようとできたらいいなと思っています。相手のことを知らない前提でお互いにコミュニケーションをとることが当たり前になったらいいなと思っています。

知ったつもりであっても背景はひとそれぞれです。共感することを求められますがが、人と違う考えがある以上、共感が難しいことはたくさんあります。だからこそあくまでも理解したらいいと思うのです。

よって1on1の場ではあくまでも上司は部下から本人の取扱説明書を教えてもらう時間だと思うのはどうでしょうか。それは上司側だけでなく、部下側も情報を差し出す必要があり、歩み寄りが必要だし、上司のことも知ろうとできたらいいなと思います。

またもっとみんなが得意なことをできる社会になったらいいなと思っています。
誰にでもちょっとした得意不得意があります。好きなことなら頑張れるのに、苦手なことだと全然パフォーマンスが出せないのです。
知っていたらお互い補えたらいいのになって思うけど、みんな苦手を克服することばかりに目がいきがちです。
どのように相手と行動するのか、どのように相手に頼むのかを考えることも大事なことだと思うので、そういうことができる場になったらいいなとおもいます。
またお互いの得意なことや苦手をうまくカバーする方法をみんながお互いに見つけていったらいいなと思います。

相合補完とか、グラデーションで人が重なり合っていると思っていて、わたしが好きなものがあなたは嫌いかもしれないけど、でもそういう考え方もありだよねっていうのがうまく受け入れられるとすごくいいなと感じました。

嫌いな食べ物ってお互い配慮しますよね。パクチーが嫌ならランチの候補から避けると思います。そういう配慮は自然としています。
仕事も一緒かなと思っています。お互いの取説を交換し、バージョンアップする場に1on1がなっていけたらいいなと思います。自分のことってわからないので、話していくことで見つけていけたらいいなと思います。

1on1に課題があるときはどんなところから着手したらいいか

  

社内の1on1に課題感があり、その一環でマニュアルを作りました。
まだこれから色々やっていかないといけないなとは思っているのですが、どこから取り組むのがいいでしょうか。

まずは両者の話をまず聞くことがスタートかなと思います。また現場の様子を観察するのもいいですね。
まず話を聞いたり、情報を集めたりする」ことが大切かなと思います。また現場の様子を観察するのもいいですね。

おっしゃっていたズレを見つけるということですか?

そうですね。現場の感覚とのズレもありますね。
例えばカードも部署ごとに聞きたいものを追加していってもいいと思います。
先日はPO祭り※の場にてPO向けの1on1質問をオーダーされて、「自分のキャリアとしてプロダクトに関わっているのか」、「サービスを愛していて関わりたいのか」をまずは選んだうえで質問を答えてもらうことをしました。職種によっても特化した質問は可能だと思います。

あとは1on1カード体験会に来る方やマネージャー向けの他イベント参加者の傾向を考えると、マネージャー同士が集まる場が求められていると思います。「孤独」だったり、「本当は相談したいが、上司になってしまって部下に相談しにくい」などの悩みを持つ方もいるので、つながるだけでもいいなと思います。

※PO祭りとは
未来を創るチームのためのプロダクトオーナーシップをテーマに行われた POStudy様主催イベント。PO祭り2019Autumnにて 1on1でふりかえるプロダクトと自分 というタイトルでワークショップを行ったときの話をしています。
https://postudy.doorkeeper.jp/events/96136

 

例えば社内向けに「カスタマイズ版」を作成することもありなのでしょうか。

そういうカード作ってみたいのでぜひ。

1on1をやっている上司は他の人がどういう風にやっているかわからないので、知るきっかけがあるのはいいですね。

組織の形態や1on1のやり方によりますが、少人数の上司としか1on1を体験しない場合もあります。

上司自身も現在の会社がはじめて1on1を実施した会社だとわかりやすい問題が起きない限り実施方法についてなかなか情報共有しないのでわからないですね。

正解とは?となってしまいますよね。個々の定性にゆだねられてしまっていて、成長したのか確認できる機会が少なく、閉じられています、

会社のなかで、もう少し「みえる化」できたらいいかもしれませんね。

課題整理からお手伝いできたらと思いますので、ぜひまたお声がけください!

1on1カードを社内に広める活動をしてくださっている甘糟様に1on1カードアンバサダーを認定させていただきました!

1on1カードアンバサダーの認定した瞬間写真

これにインタビューは終わりです。ありがとうございました!

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甘糟さまは自ら実践されていますが、1on1カードの使い方、ワークショップも実施しておりますので、研修やコンサルテーションなどご興味あるかたは「企業の方へ」をご覧いただき、お問い合わせくださいませ。
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