1on1カードを2019年9/23に発売しました。その後、利用者の方の声がtwitterなどを通して届くようになりました。利用者の方の声を直接聴きたいと思い、実現したインタビューを記事にまとめました。(2020年4月現在情報)
利用者の方のなかでも、実際に会社のメンバーを誘って1on1カードを使って練習会を開くなど社員に広める活動をしてくださっている甘糟様にお話を伺いました。
甘糟様が所属するさくらインターネット株式会社様でインタビューを行い、人事部の川村様にもご同席いただき、お話しを伺いました。
中央が1on1カードを広めてくださっている甘糟様、左手が川村様
今回のインタビュー内容(1/2)
さくらインターネットでの1on1事情
1on1をはじめたきっかけについて
会社での1on1カードの活用方法について
さくらインターネットでの1on1事情
まずは甘糟様が所属されているさくらインターネット株式会社様について人事の川村様にお話しを伺いました。
貴社の1on1導入時期やきっかけや実施状況など教えていただけますか?
人事部 川村様
2017年4月に1on1を開始しました。背景として2016年7月の組織変更があります。
それまでは部長などの役職があるヒエラルキー組織でしたが、エンジニア組織をフラットな組織にし、役職ではなく役割という扱いに変更しました。
例えば今まではマネージャーが担っていた成長支援(メンタリング)、事業を率いる役割についてそれぞれ担当者を分け、上下関係をなくし、組織権限に変えました。
これまでの上司部下という関係性が無くなり、人とのコミュニケーションをより深める必要性を感じたことから1on1をはじめました。
組織変更前後ではどのようなことが変わったのでしょうか。
意思決定の速度を早めるために、組織編成に加えて、個人の裁量で物事を進められるようにルールも変えました。例えば一般社員でも50万円までの物品は購入できる決裁権を持てるようにしたので、検証機材などは買いやすくなりましたね。
なるほど。自分で決めて進められることが増えたのですね。
御社では1on1の導入研修など行ってらっしゃいますか?
はじめは概要程度でしたが、最近になってマニュアルができ、社内に配布するようになりました。ただ研修などの準備は発展途上です。
組織が変わり、1on1についても導入してしばらく経っているさくらインターネット様。その会社内で甘糟様がどのように1on1カードを利用し、広めてくださっているのか、そのお話しを伺っていきたいと思います。
1on1カード利用者 甘糟様
1on1をはじめたきっかけについて
もともと1on1を実施されていたかと思うのですが、今まではどんな風にされていましたか?
前職でも1on1をやっていました。その時は目標をどのように設定するのか、個々の困りごとの相談が多かったですね。
現職での1on1の印象は、実施する側のスキルや経験によって内容に「ばらつき」を感じる場面があり、きっと他でも同じようなことが起きているのかなと思いました。
自分以外の皆さんがどんな1on1をしているのか気になったのですね。
1on1が面談とどう違うのか。といった疑問を耳にして、そこで色々聞いてみると自分が知っているものとちょっと違うなと感じました。
なるほどそういった前職とのギャップから現職での1on1に対する課題がいろいろ見えてきたのですね。
1on1カードとの出会いと投稿のきっかけについて
そもそもはどういう経由で1on1カードを知って購入されたのでしょうか。
Twitterで「#XP祭り」※のハッシュタグを追っていたら「明日の技術書典で1on1カードが販売される」と知って、そのカード目当てに技術書典に行って購入しました。
※XP祭り
日本XPユーザグループ(XPJUG)様が主催している毎年秋にあるITイベント 。 http://xpjug.com/xpfestival/
なんと!目当てで来てくださっていたのですね。
ー今回お会いするきっかけはtwitterで積極的に1on1カードについて発信されていてお声がけしたのがはじまりでしたー
Twitterに1on1カードに関して感想投稿だけでなく、利用した記録ややってみた改善点など積極的に挙げてくださっていました。ここまでアクティブに行動したくなった何かがあったのでしょうか。
前著書の現場の「ズレ」を解消するコミュニケーションメソッドを読んだときも教育心理学概論が引用されているなど、自分が見聞きしたものが要約されて書いてありました。
1on1カード、使いこなしブックもぱらぱら見ていて、これはすぐに出来そうと感じました。おもしろそうだと直感的に思ったのが大きかったですね。
会社での1on1カードの活用方法について
それでは実際にどんな風に会社で1on1カードをどのように実践されていたのか。そのお話を詳しく聞いていきたいと思います。
どんな風に社内で実践していきましたか?
はじめは少人数でテストしたいと思い、3人で行いました。
「1on1でどういう話をしていいかわからないと聞いていたので、こういうカードがあるからおもしろそうだから一緒にやらないか」と誘いました。
そのときにフィードバックをもとにして改善して、次はもう少し人数を増やそうと考えました。
テスト後は所属グループと他部署の人を集めて実施しました。
(東京でこのインタビューを実施した)翌日も大阪にある本社で、13、14人ぐらいに対して実施してきます。
トライアルまで行っており、本格的ですね。
はじめのテストからうまくいきましたか?どんな感じだったのでしょうか。
テスト時のフィードバックとして、カードを使うことに集中してうまく話せなかった、カードに気に取られてしまったという声はありましたが、問題ではないかなと思ったのですぐ本番にいきました。
そのときに評価だけは観察者役割が評価しやすいようバインダーでチェックできるよう工夫しましたね。
評価カード(観察者)をチェックシートにしたもの
評価カード(観察者)を記入できるように工夫されたのですね!
(観察者の)評価がヒューリスティックになってしまう(どう採点したらいいか)部分を観察者に事前に共有することから始めました。
大部屋でやったので、当たり障りない話で練習してねと説明していましたが、実際やってみると結構みんなワイワイして周りのことが聞こえないぐらい、いつもの1on1みたいな真面目な内容で話していました。思い切って話せたみたいです。
他部署も交えて行ったので、いろんな悩みを知ることができて部署横断的にやってみるのもいいのではという声があがりました。
具体的にはどんな風に実施されたのでしょうか?
事前に準備していた「相談はむずかしい」という資料
事前に色々準備をしましたね。
具体的には
– ルール説明資料
– プロジェクター(資料を表示)
– タイマーとベルを用意(スマホのアプリで代用)
– 観察者用の評価シート作成
– 観察者用のバインダーとペン
– メモ用に付箋とペン
事前のテストでは「相談はむずかしい」という資料を用意しました。
相談しにくい、できない状況があり、関係構築ができていないといった内容で、相談は上司やチーム、チーム以外のひとにもして良いし、1on1では何を相談すると良いのかという話をしました。
あとは1on1カードを買う前の話ですが、健康面の不安、ハラスメントやストレスの不安、人間関係の不安についても話していて、まさにカードの通りじゃないかと思いました。成果達成の不安だったり、自己実現の不安だったりとか、こういう不安を相談するとうまくいくよという内容でまとめていて、相談されたときにどんなテーマを選ぶかといった話をしていたので、なおさら1on1カードの内容が入ってきました。
すでにいろいろと資料は作られていたことや、今までの話ともつながっていたのですね。
最初に3人で行ったときはペンと付箋を用意して、実施時間を設定してテストしました。予定通り進行していなかったら時間を増やしたり、たてつけを変えたりしました。
本も読んでもらって、書いてあることをそのままやってもらいました。参加者には本とカードをプレゼントしました。
そうだったのですね!
裏話ですが、はじめて連絡とったのはオンラインでいきなり複数注文が入った方がいて、念のため連絡したことがありましたね。その複数注文はプレゼント用でもあったのですね。
自分にとって1on1カードはすごくありがたいものです。
1on1カードを渡し、「仕事が大変だったら生活面はどうなの?」と、カードを起点に質問がしやすいなと思いました。
これをもとに訓練すれば、1on1をする側、される側、お互いがよくなるのではないかと感じました。
本当は事前に人事に相談するべきだったかもしれませんが、面白そうだしやっちゃおうという気持ちが優先して、アンオフィシャルで行いました。
むしろ、ありがとうございます!
人事と兼務してもいいじゃないかと思うほどの行動力ですね。
ちなみにはじめのテストのときと比較して、大人数で行った際に生じた苦労や大変なことがありましたか?
1回やってもらったひとは観察者になれるので次の回に繰り越してスタッフとしてサポートしてもらう仕組みにしていました。
1周目は自分がスタッフとして入って、2周目は一度やったら感覚がつかめてくるので、みんなにやってもらって自分は各テーブルをまわるかたちで支援しました。
次はスタッフとしてできるように仕組みを作られているのですね。
実際参加された方はどんな印象だったのでしょうか。
アンケートをとったのでそこから紹介したいと思います。
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【1on1ワークショップ感想 1】
純粋に楽しかったですー!あと上司って大変なのだな(小並感すみません)と思いました。いくつかのチームで「学生時代」のテーマが選ばれていたのは、やはり生い立ち的な意味で気になるからでしょうか?興味深かったです。
内省をしてもらうことが大事ということが分かりました。
あと、無意識でしたが自分の意見を押し付けてしまっていたので、相手の考えを引き出すことを重点に置いて話さなければいけないと分かりました。
この経験(相手や審査員のフィードバック)を通じてより意味のある1on1にできそうと感じました。
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1on1の場面でアドバイスしてしまうケースも多いですよね。合意がない状態で上司が「こうしたらいいよ」という押し付けてしまって、本人はやりたくなかったといったことが起きるかもしれません。
そういったことが、1on1カードを活用することで意味のある1on1にできそうかなぁと思いました。それと、普段から観察者がいてもいいのではと感じました。
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【1on1ワークショップ感想 2】
最初は難しいなと思いましたが、カード内容が想像以上によくできていてスムーズに話を進めることができました。普段の1on1でもこのカードを使えると思いました。
やる側が圧倒的に多いので受ける側は素直に楽しかったです。あと分かっていたけど自分が受ける側だとめっちゃ喋るのが改めて分かったのが良かったです。
個人的には1on1は正直(みんなにも言ってますが)迷いながらやっている部分もあるのでワークショップみたいな形でやれると、そういった部分の共通認識も作れて少し気持ちが楽になったと感じました。ありがとうございました!(カード買いました)
面談はじめての頃、調べた知識だけでは心細かったのでその頃このカード知りたかったです。今でも自分がもしする側だったらあると助かりますが..
などなど。。(今回は一部ご紹介)
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感想を拝見していると1on1をする側だけでなくされる側にも実施したのですね。
はい。いろいろな立場や業種の方が参加しました。様々な視点が入って面白いだろうと思ったので、派遣の方が上司で、部下役を上司がやるように逆転して、より楽しくなりました。また逆転することで上下関係をなくす効果もできました。
ワイワイした感じになるよう演出したいという意図がありました。
おもしろいですね。普段と立場を逆転させることでまた違う体験ができたみたいですね。
次の記事は甘糟さんからの質問に尾澤が答えていきます。
甘糟さまは自ら実践されていますが、1on1カードの使い方、ワークショップも実施しておりますので、研修やコンサルテーションなどご興味あるかたは「企業の方へ」をご覧いただき、お問い合わせくださいませ。
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